不正競争防止法とは、企業間の公正な競争を目的として、
不正な手段による競争の防止や不正競争に関する損害賠償について定めた法律です。

不正競争防止法では、以下のような行為を、不正競争行為として定めています。

・周知表示混同惹起行為
既に社会で広く認識されている他の商品と同一または類似のパッケージや商品名等を使用し、
他の商品と混同して購入を促す行為を指します。

・著名表示冒用行為
他の商品名等を、自社の商品やサービス名として使用する行為を指します。
ただ乗り(フリーライド)、希釈化(ダイリューション)、汚染(ポリューション)等

・商品形態模倣行為
最初に販売された日から3年以内の他人の商品の形態を模倣した商品の販売・レンタル等を行う行為を指します。
意匠法と異なり、登録が不要なため、意匠登録を行う費用や時間をかけることができない
商品やサービスについても対象となります。

・営業秘密侵害
顧客情報や技術的なノウハウといった営業秘密を不正な手段により取得する行為を指します。
以下の3つの要件をすべて満たすものが営業秘密として扱われます。

つまり、秘密として管理されていないもの、価値のないもの、公然に知られているものは
営業秘密として扱われません。
企業にとって特に重要なものは「秘密管理性」で、ノウハウや情報を秘密ものとして管理していることを
明確に表示し、従業員も秘密として管理していることを認識している可能性がなければ
秘密管理性は認められません。

・技術的制限手段に対する不正競争行為
デジタルコンテンツのコピー管理技術、アクセス管理技術を無効にすることを
目的とする機器やプログラムを提供する行為を指します。

・不正にドメインを使用する行為
不正に利益を得る目的または他人に損害を加える目的で、他の商品名や商標等と同一または類似のドメインを
保有または使用する行為を指します。

・品質等誤認惹起行為
商品・サービスの品質・内容等について誤認を生じさせるような表示を行う行為を指します。

・競争者営業誹謗行為
自己と何らかの競争関係にある他者の営業上の信用を害するような虚偽の事実を
告知したり、流布したりする行為を指します。

・代理表示等冒用行為
代理権や販売権が消滅したにもかかわらず、代理店、特約店等といった表示を承諾なく
継続して使用する行為などを指します。

不正競争防止法では、上記で定められている不正競争行為に対して、下記のような是正方法を定めています。

・差止請求
不正競争行為によって営業上の利益を侵害される(恐れのある)者は、
侵害の停止や予防を請求することが可能です。

・廃棄除去請求
侵害行為を構成した物や設備、侵害行為によって生じた物の廃棄、除却を請求することが可能です。

・信用回復措置
営業上の信用を害された者は、侵害した者に対して、信用の回復に必要な措置を取らせることが可能です。
謝罪広告や、信用を害した相手に対し謝罪文を発送させるなどの方法が考えられます。

・損害賠償請求
不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、損害賠償の責任を負うことになります。
また、不正競争防止法では、損害額の推定の規定を定め、損害額の立証の困難性を緩和しています。
例えば、侵害行為によって侵害者が得た利益額を、損害額として推定する等の規定が定められています。

以下のような行為は、不正競争防止法に定められた不正競争行為に該当しないとされています。

・普通名称・慣用表示の使用
商品や営業における普通名称または慣用表示を、普通に用いられる方法で使用する場合には、
不正競争行為には該当しません。

・自己氏名の使用
自己の氏名を不正を行う以外の目的で使用するような場合は、不正競争行為には該当しません。

・先使用
他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一・類似の商品等表示を
使用する場合は、不正競争行為には該当しません。
ただし、先使用の主張に対して、権利の侵害を受けたと主張する者は、
混同防止表示を付加するように請求することが可能です。

・形態模倣商品の善意取得者
他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者がその商品を譲渡等を行う場合
(模倣商品であることを知らず、知らないことによる重大な過失がない場合のみ)は、不正競争行為には該当しません。

・営業秘密に関する例外
取引によって営業秘密を取得した者が、その取引によって取得した権限の範囲内において
その営業秘密を使用・開示する場合(不正に取得されたことを知らず、知らないことによる重大な過失がない場合のみ)は、
不正競争行為には該当しません。